はじめに
四半期レビューは年度監査と異なり「限定的保証」(消極的確認)ですが、決して形式的なものではありません。監査法人は、質問・分析的手続を中心に、重要な虚偽表示がないことを確認します。特に四半期特有の簡便処理や見積りの合理性は重点的に検討されます。
チェックリスト
1. 会計方針の継続性
- 前期の年度決算から会計方針を変更していないか
- 変更がある場合、変更理由と影響額の記載
- 四半期ごとの方針変更は原則として認められない
- 四半期間で一貫した会計方針を適用しているか
- 第1四半期と第2四半期で異なる処理をしていないか
- 新たに適用された会計基準がある場合、適用方法は適切か
- 経過措置の適用の有無と影響額
2. 見積実効税率の合理性
- 見積実効税率の計算過程が文書化されているか
- 年度の見積税引前利益と見積税金費用の算出根拠
- 永久差異、税額控除等の考慮
- 通期の業績予想と整合した見積りか
- 直近の業績予想修正があれば見積実効税率も再計算
- 前四半期の見積実効税率からの変動がある場合、変動理由を説明できるか
- 個別の重要な一時差異の影響を適切に反映しているか
- 大規模な減損、大規模な一時差異の解消等
- 連結子会社ごとの税率の違いを適切に考慮しているか
- 海外子会社の税率差異
3. 簡便処理の適用要件
- 退職給付費用の期間按分が適切か
- 年間見積額の前提条件に重要な変更がないか
- 割引率の大幅な変動がある場合は再計算が必要
- 棚卸資産の評価方法の簡便処理が適切か
- 帳簿棚卸の信頼性は十分か
- 収益性の低下の兆候がある場合は追加的な評価切下げの検討が必要
- 減価償却費の期間按分が適切か
- 重要な資産の取得・除却がある場合は調整が必要
- 引当金の見積りに重要な変動がないか
- 訴訟、製品保証等の偶発事象の発生・変動
4. 減損の兆候確認
- 固定資産の減損の兆候判定を四半期ベースで実施しているか
- 四半期でも減損の兆候がある場合は減損テストが必要
- のれんについて、被取得事業の業績が計画を大幅に下回っていないか
- 保有不動産の時価に著しい下落がないか
- 事業環境の著しい悪化(規制変更、競合出現等)がないか
5. 後発事象と開示
- 四半期末日後に重要な後発事象が発生していないか
- M&A、事業譲渡、重要な訴訟の提起・解決
- 自然災害、事故等の影響
- 修正後発事象(四半期末日前に原因がある事象)は財務諸表に反映しているか
- 開示後発事象は適切に注記しているか
- 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象がないか
6. セグメント情報・その他
- セグメント情報が年度の報告セグメントと一貫しているか
- セグメント変更があった場合の前年同期の組替え
- 1株当たり情報が正確か
- 期中平均株式数の計算(株式分割、自己株式の取得・処分の反映)
- 関連当事者取引に重要な変動がないか
見落としやすいポイント
- 通期予想との整合性:四半期の実績が通期予想と大幅にかい離している場合、予想の合理性自体が問われる。予想を修正すべきか検討が必要
- 連結子会社の四半期データの品質:子会社が簡易的な四半期データを提出している場合、重要な計上漏れや計上ミスがないか注意
- 四半期特有の季節変動:売上や費用に季節変動がある場合、前年同期との比較分析で異常値がないか確認
- 過年度の修正:前期の年度決算で判明した修正事項が、四半期の開始残高に適切に反映されているか
まとめ
四半期レビューへの対応は、以下の3点を意識して準備しましょう。
- 簡便処理の前提条件を確認する:見積実効税率、退職給付費用の期間按分等の前提に重要な変更がないか毎四半期で確認する
- 通期予想との整合性を保つ:四半期実績と通期予想のかい離を分析し、予想修正の要否を検討する
- 文書化を簡潔に行う:年度決算ほどの詳細さは不要だが、判断のポイント(兆候なしの理由、見積りの前提等)は記録する