はじめに
持分法は、関連会社に対する投資について、投資先の業績を連結財務諸表に反映させる方法です。連結子会社のように財務諸表を合算するのではなく、投資勘定の金額を持分に応じて増減させるため「一行連結」とも呼ばれます。
概要
持分法の適用範囲
関連会社の判定基準:
議決権比率 | 判定 |
|---|---|
50%超 | 子会社(連結対象、持分法ではない) |
20%以上50%以下 | 原則として関連会社(持分法適用) |
15%以上20%未満 | 重要な影響力がある場合に関連会社 |
15%未満 | 原則として持分法の対象外 |
重要な影響力の判定基準(20%未満でも関連会社に該当する場合):
- 役員の派遣(取締役の一定割合を占める)
- 重要な融資の実行
- 重要な技術提供
- 重要な取引関係の存在
- 財務・営業方針の決定に影響を与える事実
具体的な会計処理
持分法による投資損益の算定
基本的な処理:被投資会社の当期純利益に持分比率を乗じて、投資勘定を増額します。
仕訳例:関連会社A社(持分30%)が当期純利益5,000万円を計上した場合
(借方)投資有価証券 15,000,000 (貸方)持分法による投資利益 15,000,000
※ 5,000万円 × 30% = 1,500万円
A社が配当を500万円支払った場合(受取配当金は持分法の投資勘定から控除):
(借方)現金預金 1,500,000 (貸方)投資有価証券 1,500,000
※ 500万円 × 30% = 150万円
取得時の処理(のれんの算定)
持分法の適用開始時に、投資額と被投資会社の純資産の持分額との差額を算定します。
計算例:A社の株式30%を6億円で取得。取得時のA社の純資産は15億円の場合
投資額:6億円
A社の純資産に対する持分額:15億円 × 30% = 4.5億円
のれん:6億円 − 4.5億円 = 1.5億円
のれんは投資勘定に含めて管理し、規則的に償却します。
のれん償却の仕訳例(償却期間10年の場合):
(借方)持分法による投資損失 15,000,000 (貸方)投資有価証券 15,000,000
※ 1.5億円 ÷ 10年 = 1,500万円/年
未実現利益の消去
持分法適用会社との取引で未実現利益がある場合、消去が必要です。
ダウンストリーム(投資企業→関連会社): 投資企業の売上に含まれる未実現利益を、持分比率に応じて消去します。
仕訳例:親会社がA社(持分30%)に原価800万円の商品を1,000万円で販売。期末にA社に在庫が残っている場合
未実現利益 = (1,000万円 − 800万円) × 30% = 60万円
(借方)売上原価 600,000 (貸方)投資有価証券 600,000
アップストリーム(関連会社→投資企業): 関連会社の売上に含まれる未実現利益を、持分比率に応じて消去します。
(借方)持分法による投資損失 600,000 (貸方)棚卸資産 600,000
持分法の表示
連結BSの表示:
科目 | 内容 |
|---|---|
投資有価証券(持分法適用) | 取得原価 ± 持分法による累積調整額 |
連結PLの表示:
科目 | 内容 |
|---|---|
持分法による投資利益(又は損失) | 営業外収益(又は営業外費用)に表示 |
実務上の留意点
データ収集:持分法適用会社から、当期純利益、配当、純資産の情報を適時に入手する体制が必要です。子会社のような連結パッケージは通常不要ですが、決算データの定期的な入手と内部取引の把握が必要です。
決算日の差異:持分法適用会社の決算日が異なる場合、3ヶ月以内であれば持分法適用会社の決算日の数値を使用できます。ただし、重要な取引・事象は調整が必要です。
留意点
- 持分法の適用除外:重要性が乏しい関連会社は持分法の適用を省略できる。ただし「重要性」の判断基準を明確にしておく
- 関連会社の損失が投資額を超える場合:投資額をゼロまで減額した後は、原則として追加の損失認識は行わない。ただし、投資企業が関連会社に対して債務保証等を行っている場合は引当金の計上が必要
- 関連会社の会計方針:持分法適用会社の会計方針が投資企業と異なる場合、重要な差異については調整が必要
- 持分変動損益:関連会社の増資等で持分比率が変動した場合、持分変動損益の認識が必要
まとめ
項目 | 内容 |
|---|---|
適用範囲 | 原則20%以上の議決権保有。重要な影響力で実質判定 |
処理方法 | 投資勘定を持分に応じて増減(一行連結) |
のれん | 投資勘定に含めて規則的に償却 |
未実現利益 | 持分比率に応じて消去(ダウン/アップストリーム) |
PL表示 | 持分法による投資利益/損失(営業外損益) |
持分法は連結ほど複雑ではありませんが、関連会社からのデータ入手体制の整備と、未実現利益の把握が実務上の重要ポイントです。